モダンが鮮烈デビューを果たして半年位が経ちました。
PTの後に、まさかの大量禁止発行、公式戦にデビューするも、実行回数がないという不遇のフォーマットです。
しかし、禁止の影響もあって、結構安定した環境になっている気がするので、入門編みたいな事を書いてみたいと思います。

■フォーマット構成:
第8版以降の基本セット
ミラディン以降のエキスパンション(コールドスナップを含む)

■禁止カード
石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic
精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor
祖先の幻視/Ancestral Vision
精神的つまづき/Mental Misstep
思案/Ponder
定業/Preordain
苦花/Bitterblossom
戦慄の復活/Dread Return
炎の儀式/Rite of Flame
猛火の群れ/Blazing Shoal
垣間見る自然/Glimpse of Nature
ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll
緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith
超起源/Hypergenesis
金属モックス/Chrome Mox
師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top
頭蓋骨絞め/Skullclamp
弱者の剣/Sword of the Meek
梅澤の十手/Umezawa’s Jitte
溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle
雲上の座/Cloudpost
暗黒の深部/Dark Depths
古えの居住地/Ancient Den
大焼炉/Great Furnace
教議会の座席/Seat of the Synod
伝承の樹/Tree of Tales
囁きの大霊堂/Vault of Whispers

モダンの禁止基準は安定3ターンキルだそうです。
とりあえず、前回の禁止条例で、ヤバそうなカード達が環境を去っているので、即死に怯えた構築はしなくても良さそうです。

■モダンの特徴
なんと言っても、フェッチと、ギルドランドが使用できるのが最大の特徴です。
ギルドランドと、M10&イニストランドの相性も良く、マナベース的には、大分安定します。
色の組み合わせ的には、スタンダードと比較にならない程、多色化の自由度を味わう事が出来ます。
レガシー環境は、デュアルランドの敷居が非常に高く、新規に参入するには、辛いものがあります。
モダンも、紙フォーマットが決定した後に、ギルドランドが高騰してしまいましたが、各種PWよりは安いので、まだ間に合うのではないでしょうか。
禁止カード条件に記述されているように、環境を歪めるカードも禁止になっています。
これにより、瞬殺系も大人しくしている状態なので、デッキ構築の際に、極端なメタカードをメインに入れる必要は無いと思います。
ここまでが、フォーマット的な特徴。
ここからは、メタ的な特徴。

1.生物の優遇
ここ数年の生物の優遇っぷりを見ても分かるように、生物は、レガシーと遜色ないレベルです。
ただし、石鍛冶は、環境を壊すので駄目。レガシーでの暴れっぷりを見れば、いかに駄目かという事がよく分かりますね。

2.マナブーストの不遇
1マナ以下のブーストスペルが軒並み禁止か、環境に存在しなくなっています。
そのため、せっかく炎の中の過去が出たというのに、ストーム系の使用が厳しくなっています。

3.墓地の有効性
禁止カードの影響により、墓地の悪用が難しくなっているので、サイドの墓地対策の重要性は、レガシーより、薄くなっています。

■環境に存在するデッキ
Worldの結果から、各アーキタイプを紹介したいと思います。


■■■Zoo■■■
旧エクステンデッド、レガシーでもおなじみのZoo。
基本は赤緑白のナヤカラーの優秀生物に、火力、除去で攻めるデッキです。
フォーマットの特徴どおり、色のタッチが容易に出来るため、最近は青を絡めた構築が目立ちます。


先月に行われた、世界選手権の上位Zooの分析を分析して見たいと思います。
■18P
1 Boom/Bust Zoo
 18 Zoo Boom/Bust

■15P
2 PW & Punishing Fire Zoo
5 Domain Zoo
1 Boom/Bust Zoo
2 Punishing Fire
1 Bant Charm
1 Bant Zoo
 15 Zoo PW & Punishing Fire
 15 Zoo PW & Punishing Fire
 15 Zoo Tribal
 15 Zoo Tribal
 15 Zoo Tribal
 15 Zoo Tribal
 15 Zoo Tribal & Snapcaster
 15 Zoo Boom/Bust
 15 Zoo PunishingFire
 15 Zoo Bantcharm& Punishing Fire
 15 Zoo Bantcharm
 15 Zoo Bant

■13P
1 PW & Punishing Fire Zoo
2 Domain Zoo
 13 Zoo Tribal
 13 Zoo PW & Punishing Fire
 13 Zoo Tribal & Snapcaster


■12P
2 PW & Punishing Fire Zoo
8 Domain Zoo
  (2 Snapcaster Mage
  (2 Dark Confidant
  (2 Landfall
1 Cascade Zoo
2 Angel Zoo
1 Kave Justice zoo
1 Traft Zoo
1 Bant Charm
1 Bant Zoo
2 No Nacatl
 12 Zoo PW & Punishing Fire
 12 Zoo PW & Punishing Fire
 12 Zoo Tribal
 12 Zoo Tribal
 12 Zoo Tribal & Snapcaster
 12 Zoo Tribal & Snapcaster
 12 Zoo Tribal & DarkConfidant
 12 Zoo Tribal & DarkConfidant
 12 Zoo Tribal Landfall Burn (Tarmogoyf?
 12 Zoo Tribal Landfall Burn
 12 Zoo Cascade
 12 Zoo Lightning Angel
 12 Zoo Lightning Angel
 12 Zoo Kave Justice
 12 Zoo Traft
 12 Zoo Bant
 12 Zoo Bant Charm
 12 Zoo No Nacatl & Snapcaster
 12 Zoo No Nacatl & Snapcaster

---Total-------------------------

15 Domain Zoo
  (2 Snapcaster Mage
  (2 Dark Confidant
  (2 Landfall

5 PW & Punishing Fire Zoo
2 Punishing Fire

2 Boom/Bust Zoo
2 Bant Charm
2 Bant Zoo
1 Cascade Zoo
2 Angel Zoo
1 Kave Justice zoo
1 Traft Zoo
2 No Nacatl
---------------------------------

上記の集計からも分かる通り、フィラディルフィアで安定した勝率を誇ったCounterCatは数を減らし、ビート重視の構成のZooが増加しています。
これは、前回の禁止リストによって、環境が大分健全な方向に変わったことにより、瞬殺を考えなくてもよくなったためで、環境は大分落ち着いてきている証拠だと思います。

で、このZoo。種類が本当に多岐に渡ります。
今回一番多かったのは、DomainZoo。部族の炎をつんで、火力の性能を上げています。
これは、環境にビートダウンが多いため、罰する火コンボを搭載するデッキが多いため、火力を増量することで、ダメージを稼ぐという構想です。
このタイプは、版図を有効活用するために、フェッチ→ギルドランドの動きを多様するので、ライフの減りが凄まじいのですが、ビートダウンの性質上、先に相手を倒せば勝ちなので、そこまで問題にはならないのでしょう。
稲妻のらせんでのゲインライフもあるので、実際、結構何とかなります。
イニストラードで加わった瞬唱の魔道士のせいで、部族の炎だけで10点削れることもあります。
瞬唱の魔道士は、稲妻、らせん、流刑、部族の炎とスペルが優秀なため、すさまじい強さを誇ります。

環境最高の除去エンジンである、罰する火のコンボを搭載した形もよく見られます。
燃え柳の木立からマナを出すタイミングで、罰する火の回収能力が誘発するため、3マナあれば、タフネス2以下の生物には生存権がなくなります。
燃え柳の木立自体が赤緑の土地のため、Zooにはすんなり搭載できるのが、ポイント高いですね。
で、対ビートダウンを意識して、罰する火と燃え柳を搭載したものが、この形です。
更に、これをメタって、タフネス2以下の生物を減らしたZooもちらほら見かけます。
それに飽き足らず、PWを増量して、後半戦に強い形もあります。
前のエクステンデッド環境でもこのようなメタの変遷が見られたので、これから環境の研究が進むにつれ、色々な対策が現れるでしょう。

最後に、爆裂アドバンテージ生成生物、血編み髪のエルフを使ったZooもあります。
このタイプは、爆裂/破綻を搭載しているものが多く、土地を縛って、有利な状況を固定する、アーニゲドン的な動きができます。
爆裂で、自分のフェッチと、相手の土地を対象にとって、解決前にフェッチを起動することで、2マナの石の雨的な使い方もできるので、前述の燃え柳の木立エンジンに体制があるのも強みですね。
また、血編み自体が速攻持ちなので、クロックが一気に跳ね上がるのも特徴です。捌く際には、ライフ管理をしっかり行いたい所です。

サイドボードは、多色デッキだけあって、受けの広いサイドが構築できます。
カウンター、コンボ対策、置物対策、除去の増量、手札破壊と、本当にバラエティーに富んだラインナップが用意できます。
特に、血染めの月系の置物は、Zooのためにサイドに採るくらいの勢いなので、置物破壊はしっかりと用意しておきたいですね。

さて、いい所だらけのZooですが、弱点には、多色デッキだけあって、マナベースを攻められるのが一番効きます。
血染めの月、月の大魔術師、広がりゆく海、大爆発の魔導士等が対策として挙げられます。
ただ、基本地形を積極的にフェッチで持ってこられると効き目半減なので、過信は禁物です。
また、初速を止める事も有効です。タルモ、聖遺まで対策できる死の印等が特に有効でしょう。

<<一般的パーツ>>
野生のナカティル
タルモゴイフ
聖遺の騎士
稲妻
稲妻のらせん
流刑への道
各種フェッチ
各種ギルドランド
etc...

ゼロから構築する際は、タルモが最大の壁になると思います。
ギルドランドは、アンタップインが痛いので、各種1~2枚程度を散らすので、そんなに多くの枚数は必要ないのですが、フェッチランドは10枚前後必要になります。
まずはナヤカラーを集めて、他の色をタッチしていくと、効率的だと思います。



■■■親和■■■
自分が、溺愛する親和ですが、アンチがやたら多いのも特徴です。
そのキーワード能力の通り、生物デッキで環最速の速度を誇ります。
ちなみに、ミラディンが発売されたのは2003年。
知らない人もいると困るので、キーワードをおさらいしましょう。

親和(アーティファクト)
この呪文を唱えるためのコストは、あなたがコントロールするアーティファクト1つにつき(1)少なくなる。

旧ミラディン環境の際は、一強状態を維持し続け、色々禁止にされたという過去がある、罪深いデッキです。
知らない人が対戦すると、規格外の速度で展開してくるので、非常にインパクトの強いデッキになっています。
そのために、目の敵にされたように対策もされてしまいます。
モダンの親和は、親和と言いつつ、親和を金属カエル位であって、他は低コストのアーティファクト生物で固められたビートダウンです。
マナカーブが0マナから始まるため、手数が非常に多く、回していて爽快感も非常に高いです。

生物は、新ミラディンのものが多く、スタンダードの鋼にも搭載されている生物が多く採用されています。
0マナは、メムナイトと羽ばたき飛行機械。
1マナは、大霊堂のスカージと、信号の邪魔者。
2マナは、電結の荒廃者。
4マナに、金属ガエルが一般的に採られています。
これらの生物に頭蓋囲いをつけて、2~3回殴ってゲームを終わらせます。
特に、頭蓋囲いは、黒黒でインスタントタイミングの装備ができるため、ブロックをかわして、とんでもないダメージを食らいがちですので十分注意して下さい。

スタンダードでは、イマイチ達成し辛い金属術も、親和では簡単に達成してしまいます。
オパールのモックスは1ターン目からマナブーストをするし、感電破は、常に1マナ4点の最高パフォーマンス火力です。
サイドボードに多く見られる刻まれた勇者は、3マナでプロテクション(全ての色)という馬鹿げた生物になります。
大祖始もびっくりですね。

後、特徴的なのは、メインに6~8枚採られるミシュラランドです。
旧ミラディンの「ちらつき蛾の生息地」は、1/1飛行、サイズアップ能力つき、新ミラディンの「墨蛾の生息地」は、1/1飛行、感染です。
これらは、どちらも1マナでアクティベイトできるので、ダメージを効率的に稼いでくれます。
「親和はダメージで勝つから、墨蛾なんてただの水増しだろ?」なんて思っていると、頭蓋囲いを装備されてワンショットキルされてしまうので、逆に墨蛾の方が要注意です。

レガシーの親和は、テゼレットやエーテリウムの達人まで搭載するため、青をメインにしているものが多いのですが、モダンの親和は、赤がメインカラーになっています。
これは、環境初期のコンボコンボしていた速度重視の構成を引き継いでいるためであり、速度的には、レガシーに引けをとりません。
レガシーは、アーティファクト土地が禁止で無いので、大霊堂の信奉者でフィニッシュできますが、モダンでは、アーティファクト土地がダークスティールの城塞しか使えないため、エイトグでフィニッシュに採用されます。
エイトグのダメージが通らなくても、そのまま投げ飛ばされて死ぬ可能性もあるために、序盤は隙を曝さないことが重要です。

さて、規格外の展開速度を誇る親和ですが、サイド後が本当に苦行です。
なんせ、仕組まれた爆薬のX=0でも致命的なダメージを食らってしまうし、古の遺恨なんて以ての外。即、1:2のアドバンテージをとられてしまいます。しかもインスタント。
アタック時に2体殺されるなんて普通です。アーティファクトという特徴のせいで、非常に1:2を取られやすいんです。破壊放題なんて、1:Xです。
さらに悪化すると、粉砕の嵐、忍び寄る腐食、ハーキルの召喚術。えぇ。実にいじめです。対策されるのは凄く簡単ですね。
親和の最大の武器は、速度なので、打たれる前に殺すを信条に乗り切って下さい。

<<一般的パーツ>>
メムナイト
羽ばたき飛行機械
電結の荒廃者
金属ガエル
頭蓋囲い
オパールのモックス
ちらつき蛾の生息地
墨蛾の生息地
etc...

荒廃者、ちらつき蛾のダークスティール2大巨頭、新ミラディンからはオパールのモックス、墨蛾の生息地と、結構高いパーツが散見されます。
しかし、他のパーツはほとんどコモン、アンコモンのため、実際は結構リーズナブルに組めます。
新ミラディンがスタンダード落ちする前に集めるのがオススメです。


ーーーーーーーー
とりあえず時間切れなので、ここまで。
次回は、殻とか、コントロールとかについて書きます。

コメント

mrgreed
2011年12月16日0:45

なんという俺得記事。
改めて見ると理解度が違いますね。
大変参考になります。

げげげ
2011年12月16日17:02

はじめまして。
友達とモダンを始めようとしているので、とても参考になる記事でした。次回の記事も期待しています。
拡張アートも拝見させて頂きました。ステップのオオヤマネコが特に素晴らしいと思います。

ねこ
2011年12月17日0:59

>mrgreed君
リンク切られないように頑張らないと…

>げげげさん
モダン、楽しいので、是非、初めて頂きたい!!

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索